藤化成は独自の電鋳(Electro-forming)技術で新たな電鋳の可能性をご提案いたします!

藤化成の電鋳技術

原型の形状をミクロン単位の高精度で複製する電鋳金型キャビティーの用途は小型精密歯車から100~200オンス大型成形品まで、無限に拡がっています。

藤化成の電鋳(Electro-forming)技術は、ニコリューム合金電鋳、ヒット電鋳、フィール・プレーティングなどの独自技術と経験によって支えられています。

藤化成の電鋳技術は入れ歯から

電鋳(Electro-forming)は、凹凸、精密な表面パターンを忠実に転写反転する技術です。
その原理はロシアの美術工芸家によって発見され、レコードのプレス用金型の転写反転技術として世界に拡がりました。

昭和23年、藤化成の前身である吉原歯科材料研究所創業者で歯科医師の吉原靖豊は、アクリル樹脂製人工歯=レジン歯(義歯:入れ歯)の国産化を目指し、電鋳技術を用いた成型用金型の開発を開始。昭和32年、レジン歯人工歯電鋳金型の製作会社として日本歯材株式会社を設立。

昭和35年、独自技術として高硬度・耐熱電鋳であるニコリューム(ニッケルコバルト)合金電鋳を実用化。歯科用金型としての電鋳技術を、ボールペン軸、フレネルレンズ、自動車反射板(RR:Retro Reflector、Reflex Reflector)などの工業分野への応用を開始。
ウォームギヤ・ハスバ歯車等の機械部品、ボタン・ツマミ・パネルなど家電・携帯電話部品、マイクロプリズム・液晶パネル等の超精密光学部品などに応用範囲を拡大。

高硬度ニコリューム電鋳(ニッケルコバルト合金電鋳)

一般的なニッケル電鋳の硬度は、Hv 200前後ですが、成形用の金型駒として使用する場合、十分な硬度とは言えません。
一方有機添加剤に頼った硬度上昇は硫黄の粒界偏析により、脆化をきたしやすく、射出成形やコンプレッション成形では型圧や衝撃によりクラックが発生しやすくなり金型の信頼性を損なうことになります。
ニコリューム電鋳は、約20%の程度(電着条件によって変化します)のコバルトを含むニッケルコバルト合金で、硬度は約Hv 450(電着条件、硬度測定方法によります)となっています。

200℃程度の比較的高温の型温時でも硬度の低下、脆化の進行が著しくはありません。

3次元形状の製品では、型圧による電鋳駒の変形を減じ、またフラットパネル ディスプレイ等の成形用スタンパーにおいては、版の伸びによる変形を減じますので、型ライフの向上に著しく寄与できると思います。 通常製品方向内面1mm程度の厚さでニコリューム電鋳を行い、その後のニッケル電鋳でバックアップを行います。 コバルトは大変高価な金属ですが、必要に応じてオールニコリューム電鋳で電鋳駒を製作することも出来ますので、ご相談ください。

高均一電着 ヒット (Hi-t) 電鋳法

モジュールが1.0を超えるウォームギヤ、ウォームホイール、かさ歯車などの機構部品やアスペクト比が1を超えるL/Sパターンなど本来電鋳を行うことが難しい形状を、短納期で忠実に転写するために、高均一電着ヒット(Hi-t)電鋳法を開発しました。

均一電着性は、陰極/陽極の配置、形状等によってきまる一次電流分布が、電解液の組成、電着条件などによって発生する分極作用により、どう変化(改善・悪化)したかを示す数値です。 均一電着性の数値が高い=一次電流分布に比べて二次電流分布が改善されていることになります。

当社のヒット電鋳法は、分極作用を高めるために添加する分極剤により、電着応力が大きく変化することを抑え、一般浴に比べ高い均一電着性と安定した電着特性を両立していることを特徴としております。
また一般のスルファミン酸ニッケル浴からの電析物は、電着終了後に、径時変化もしくは熱履歴を受けると、再結晶により外径に対して15×10-5程度の膨張が見られますが、本電鋳法による電析物は、-5×10-5程度の収縮となり、寸法変化をきらう高精度光学部品向けの電鋳法としてお勧めできます。

低温無電解ニッケルメッキ「フィール(F-E-EL)・プレーティング」

フォトレジストやナノインプリントで作成された極微細形状の樹脂シートから電鋳金型を製作する場合、まずはじめにパターンが形成された樹脂表面に電気が通るように極薄い金属膜を付着させる導体化処理を行う必要があります。導体化の方法には、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどの乾式・物理的処理方法がとられることが一般的ですが、それらは時に高い熱履歴と衝撃によりシートの微細形状に影響を与える場合があります。
それに対し化学的処理手法である無電解めっきでは、以下の長所・短所があります。

長所

  • 処理温度が一般的に50℃以下であり、樹脂への熱影響を小さく出来る。
  • ハイアスペクト比の微細パターンでも導体化することが出来る。
  • 処理装置が比較的大型化しやすく、また大型装置内での均一性が高い。

短所

  • 液体中での処理であり、酸・アルカリに弱い素材、膨潤しやすい素材では、処理できないことがある。
  • 組み合わせ部品では、組み合わせの隙間に処理液が滞留し、その周囲が欠陥となりやすい。

また当社のフィールプレーティングの特徴として、化学的エッチングを表面に施すことなく、物理的に触媒核の吸着制御をすることにより、光学パター ンなどの損傷を防ぎ、また極めて安定的に処理することが出来ます。処理可能サイズとしては、現在最大1875×1100mmまで処理することが出来ます。
原型シートの内容・目的によって、蒸着 スパッタリング 無電解めっき(フィールプレーティング)から最適と思われるものをご提案させていただきます。